ビジネスと技術の狭間で

データを活用して生きていく

独立後1年間の振り返りなど

今年の1月に独立してからの振り返りを記載しておきます。

仕事の変遷

1月~3月

独立する前から決まっていた仕事を週2で行っていました。
開業後の諸々について足場を固めるという意味で
ゆっくりスタートできて良かったと思います。
当然ですが、労働が週2だと勉強する時間も十分に確保できました。

4月~5月

3月までの仕事に加えて週3の仕事も始めました。
週3の仕事はフリーランスとして登録したところから紹介されたもので、
自分の腕試しや相場観の確認の意味合いが強かったので
切りが良いところで早期に引き上げるつもりで始めました。

3月まで週2労働だった身からすると週5への変化は負荷が大きく、
勉強する時間もなかなか確保できなくなってしまいました。

6月~12月

週3の仕事を週2に減らして、週2×2で働いています。
週3の仕事は最初の契約更新も少し悩んだのですが、最初の契約期間で
得た経験値があまりにも少なく(もう少し続ければ貯まり始めそうだった)
プロジェクトとしても切りが悪かったので更新することにしました。
ただ平日が週5で埋まると大変なことが分かったので
こちらの仕事も週2に減らしてもらいました。
また、こちらは増税のタイミングで単価も上げてもらって満足できる金額を戴けており
業務理解を深めながらチャレンジングなことをさせていただいているので
来年もしばらく継続する予定です。

1月から始めた仕事では多くの小粒の案件に携わり、
実作業としてはStanを用いた統計モデリングを中心に行ってきました。
その他、社内の業務課題をまとめるためのデータ集計および可視化、
データリテラシー向上のための社内研修や
データ解釈に関するディスカッションなどなどを行ってきました。
現場レベルでは社員の方とのギャップを感じることが多いですが
上の方からは「それなりに役に立っている」という評価をいただいたので
来年も1年間継続することになりました。

来年からしばらく

継続する2つの仕事に加えて、もう1つ週1程度の仕事を始めることになりました。
週4でも忙しいなと感じていたところでしたが、
昔お世話になった方からの依頼だったことと
自分のスキルの幅出しにもなりそうだったので引き受けることにしました。

スキル・知識面

分析実務系

業務でRを使えなかった1年強のブランクを埋めるのに
十分なリハビリができたと思っています。特に統計モデリングについては
色々な問題を扱うことで経験値が貯まったと感じています。
またPythonについてもコードレビューを通して読むのはだいぶ慣れました。
(未だに積極的に書きたいとは思わないですけれど、、)

ビジネス系

3月までは中小企業診断士試験の勉強もしていたので
経営理論や財務会計の科目の内容についてはある程度習得できました。
暗記中心の科目までやっている余裕がなく受験は見送りましたが。。

収入面

独立した当初はサラリーマン時代の半分程度になることを見込んでいましたが
想定よりも労働に時間を割いてしまったため、年収自体は昨年を超えました。
住宅手当がない分や事業所得の控除が給与所得控除に比べて少ない分などを
考えると減ですが、平均週4未満労働の生産性という観点では完全に上回っています。
独立した当初は、このような働き方で上手くやっていけるのか不安な面もありましたが
高い専門スキルを持つ人材の供給が圧倒的に不足している現状を踏まえると
私程度のスキルでも少なくとも3年ぐらいはやっていけそうな手応えを感じています。

ここからは本筋から逸れますが
単価の相場について少し思うことがあるので書いておきます。
紹介会社から月60万円程度の仕事の案内が頻繁に流れてくるのを見て
そういう水準で働いている人もいるんだなと思うと
同業者として少し心配になります。だいぶ余計なお世話ですが。
月60万円×12か月はサラリーマン水準で考えると決して安くはないのですが、
その水準の収入がいつまでも続く訳ではないということを考えると
個人事業主としてはもっと貰っておく必要があるのではないかと考えています。
一方の発注する側はコンサルやSIerのおじさんおばさんに
平気で月200万円とか払っていることもあります。
つまり上記の様な単価の案件は発注者側に有利な方へ大きく傾いており
もう少しバランスを取って然るべきものが多いのではないかと想像しています。
当然、単価はビジネスの構造やその規模に大きく依存するので
フェアな案件もあると思いますし、
そもそも紹介会社が抜いているので多少不利になることは仕方がないです。

ただ、このような仕組みを意識せずに
安すぎる単価で働いている人も多いのではないかと考えています。
特に若い人は買い叩かれやすい存在です。優秀で仕事熱心な若い人達が
若いという理由だけで買い叩かれるようなことは本来あってはなりません。
しかし実際に情報の非対称性を利用してビジネスを行っている人は多いので
自分の身は自分で守るしかありません。
仕事を請ける側ができることは、安すぎる案件を避けて機会損失を防ぐことと
引き受けた案件でクライアントに十分に価値が提供できていると思われる場合は
適切なタイミングで適正な単価に引き上げるように交渉することです。
いずれも簡単なことではないですが
独立して生きていく上で必須なスキルだと思います。

30代も中盤に差し掛かる自分としては、このような形で情報を発信することも
同業者コミュニティの健全な発展に貢献できる一つの形なのかなと信じて
長々と書いてみました。

来年もどうぞ宜しくお願い致します。

疫学・公衆衛生統計講座を受けてきました

前回のブログを書いた4月は週5労働でしたが
6月からは週4に減らして働いています。
諸々のスケジューリングのしやすさなどから言っても週4が良いですね。

そんなところで都合よく週1程度で開催される統数研の公開講座を見つけました。
ism-rcmhds-2019-04.peatix.com

内容は、疫学で用いられる分析手法について広く基礎を学べるもので
受講料は全て無料という大変恵まれたものでした。

ターゲットは「大学や企業の生物統計家を中心とする医学系研究者」ということで
私はど真ん中のターゲットではありませんでしたが、
過去に医療分野でGLMMを用いた経時データ解析を行った経験があったり
最近でもマーケティング分野でコホート的な観点や因果推論の観点での分析が
必要になりそうだったので応募してみたところ
どの程度の倍率だったかは分かりませんが運よく当選して参加できました。

全9回(5日間)終わってみて想定通り非常に満足度が高い内容でしたので、
各回の内容と感想を簡単にまとめておこうと思います。

第1回

日時:2019年9月30日(月)15:30~17:00
講師:大橋靖雄 教授(中央大学
内容:疫学・公衆衛生学概論
感想:Public Healthは医療とは異なるというお話から始まり、
   発展の歴史、国内におけるEBMの弱さなどの説明。
   技術的な話はほとんどなかったものの、
   個人的には興味関心を高められる内容で面白かった。
   Public Healthは限られたリソースで如何に社会の利益を高めるかという
   オペレーションズリサーチ的な問題なのだという解説が印象に残った。

第2回

日時:2019年10月3日(木)13:30~15:00
講師:佐藤俊哉 教授(京都大学
内容:疫学I 疫学とはなにか?
感想:前半は大橋先生のお話にもあったDr. John Snowのコレラの話や、
   アスピリンとライ症候群の話を通して
   「自然実験」やさまざまな「バイアス」について説明。
   ケースコントロール研究において、以下のようなことが起こりやすいというのは
   注意していてもうっかりハマってしまいそうだなと思った。
    ・ライ症候群患児の親はアスピリンが使用されたことを思い出しやすい
     (Recall bias)
    ・アスピリンを投与された子供はライ症候群と診断されやすい
     (Diagnostic bias)
    ・ライ症候群にアスピリン使用があると報告されやすい
     (Reporting bias)

   観察研究においてバイアスが入ることは当然なので
   FDAの統計審査官のRobert Temple氏は
   「リスク比が3倍か4倍以上の結果でなければ忘れることにしている」と
   発言しているという余談も興味深かった。

   また「因果関係が証明されていないことを理由に
   公衆衛生対策が遅れてはならない」というメッセージも強く印象に残った。
   仮説が正しかった時と誤っていた時それぞれについて
   アクションを起こす利益と不利益を計算して判断がなされるべきという
   説明についてはまったくその通りで、これは公衆衛生に限らないことだなと。

第3回

日時:2019年10月3日(木)15:30~17:00
講師:佐藤俊哉 教授(京都大学
内容:疫学II 代表的な疫学研究:コホート研究とケース・コントロール研究
感想:後半は佐藤先生が関わった過去のプロジェクトを具体例として挙げての説明。
   サンプルサイズの決定は予算の制約を受けること、
   予算制約の中で効率性を高めるための
   二段階ケースコントロール研究があることなどが紹介された。
   前後半合わせて資料も説明も大変分かりやすかった。

第4回

日時:2019年10月11日(金)13:30~15:00
講師:中村隆 特任教授(神戸女子大学統計数理研究所名誉教授)
内容:年齢・時代・世代効果I
感想:統計数理研究所で実施している「日本人の国民性調査」を題材として
   その中で使われている統計モデルに関するお話。
   www.ism.ac.jp
   モデルに関する線形代数の操作については
   所々にみっちり説明があり大学1年生向けの講義の様な印象だった。
   ABIC(赤池ベイズ型情報量規準)を用いて
   モデル選択をしているとのことだったが
   その辺りについては詳しい解説はなく、やや消化不良。
   そんなに興味のある指標でないので構わない。

第5回

日時:2019年10月11日(金)15:30~17:00
講師:船渡川伊久子 准教授(統計数理研究所
内容:経時データ解析
感想:経時データ解析ではGLMMが頻繁に使われるとのことで
   線形モデルの基礎から丁寧に説明いただいた。
   説明は分かりやすかったがボリュームが多く
   後半はついていけない部分もあった。
   また、最後に少しだけ欠測(MCAR, MAR, MNAR)に関するお話もあった。

   冒頭に船渡川先生が書かれている本が紹介されていたが
   目次を見る限り、経時データ解析について気になることは網羅されていそう。
   (低い評価が付いてるのが気になるけど、、)
   

経時データ解析 (統計解析スタンダード)

経時データ解析 (統計解析スタンダード)

第6回

日時:2019年10月18日(金)13:30~15:00
講師:中村隆 特任教授(神戸女子大学統計数理研究所名誉教授)
内容:年齢・時代・世代効果II
感想:前回の続き。
   前回の講義ではモデルを意識するような説明が少なかったけれども
   今回はガッツリとした説明があった。
   自分としては手で解くモチベーションはないので丁寧過ぎて重かった。
   前回出てきたABICについても少し説明があったが
   依然としてどういう良さのある指標なのかなどの説明はなかった。
   今だとWAICを使っておけば間違いない?

第7回

日時:2019年10月18日(金)15:30~17:00
講師:篠崎智大 講師(東京理科大学
内容:因果推論I
感想:因果推論の基礎的なお話。
   全体を通して、どのような仮定の下に行える議論であるのかが
   明確に説明され非常に分かりやすかった。
   層別解析から始まり傾向スコアの導入も自然で
   一気にIPWまで説明があったが消化不良感は少ない。

第8回

日時:2019年11月11日(月)13:30~15:00
講師:丹後俊郎 センター長(医学統計学研究センター)
内容:健康指標のベイジアン推測
感想:ベイズ統計のざっくりした説明と空間統計での応用について紹介。
   複雑なモデルを使うほど生データの当てはまりについての検討を
   疎かにしがちなので、そこは注意しなければならないと強調されていた。

第9回

日時:2019年11月11日(月)15:20~16:50
講師:篠崎智大 講師(東京理科大学
内容:因果推論II
感想:前回の復習から丁寧に説明いただいたため、
   終盤の二重ロバスト推定の説明が薄く、惜しく思った。
   交絡を調整する基本方針は、層別できるなら層別するのがよく、
   交絡変数が多すぎて層別できないときは
   モデルを使うことで「層別できた場合」の結果を近似すれば良いらしい。
   ただ「回帰モデルから算出される値はあくまで近似であるので
   元のデータから素直に算出される値の方が正しい」というような
   説明については違和感があった。
   当然全てのモデルは間違っているのだけれども
   実測値から単純に計算した値の方が
   常により真実に近いわけではないと思うので、、

   傾向スコアを用いることで推定される効果が
   条件付き効果なのか周辺効果なのか意識するというのは重要なことだと思った。

   また、傾向スコアを求める際に
   暴露に強く関連する変数は含めるべきでないというのは知らなかった。
   これはモデルの判別力を高くし過ぎたくない
   (傾向スコアの分布を分離させすぎたくない)という都合があるらしい。
   実務的な変数選択について以下の論文に詳しくまとまっているとのこと。
   VanderWeele, European Journal of Epi 2019
   https://link.springer.com/content/pdf/10.1007%2Fs10654-019-00494-6.pdf

その他

いくつかの講義で触れられていた書籍。
今回の講座の内容と合致していて復習にも良さそうだったので購入した。
年明けぐらいまでには読みたい。

ロスマンの疫学 第2版

ロスマンの疫学 第2版

通常の公開講座は朝から開講されているので
いつもは脇目も降らず通り過ぎる立川駅だが、
午後からの開講ということもあり、いくつかお店を開拓した。

いずれも偶然見つけたり間違って入ってしまったお店だったが美味しかった。

retty.me

retty.me


f:id:fqz7c3:20190930143933j:plain
昭和記念公園手前の公園。
この日は曇っていたが広々としていて気持ち良かった。
統数研までモノレールを使わず歩いて行くのもリフレッシュできて良い。


最後に、オーガナイザーの船渡川先生および
全てのご講義いただいた先生方に感謝申し上げます。

開業以降

平成も終わるので、1月に開業届を出して以降の動きについてまとめておきます。

事業用口座開設

プライベートと分けて事業用の口座を持ちたかったので
新規に口座を開設することにしました。
いくつか調べてみて、使い勝手も悪くなさそうでかつ
名義の先頭に屋号を付けられる楽天銀行に決めました。
法人ではないものの事業用ではあるので
手続きが複雑なのではないかと若干心配していましたが
開業届のコピーを返送するぐらいで大して面倒とは思いませんでした。
www.rakuten-bank.co.jp


ドメイン取得

メールアドレスがGmailというのはあまり格好がつかないのと
企業によってはGmailでのやり取りができないケースもあるのとで
ドメインを取得することにしました。
初のドメイン取得で分からないことだらけでしたが
想像していたよりも安かった(約5000円/5年)ので大した比較もせず
ムームードメインで取得しメールアドレスを作成しました。
muumuu-domain.com


会計ソフト契約

経費の類が溜まってきたので
クラウド会計ソフトの利用を始めることにしました。
選択肢としてfreeeとマネーフォワードと弥生がありましたが
勢いのある会社の方がUI/UXに配慮されているのではと考えて弥生を消し
freeeとマネーフォワードの比較においては正直違いがあまり分からなかったので
若干費用が安い※マネーフォワードに決めました。
※2019年5月より料金体系が変わりfreeeに対するアドバンテージはなくなるようです。

biz.moneyforward.com


名刺作成

後述のフリーランスの求人サービスに登録してから
個人事業主として面談する機会が増え始めたので慌てて作成することに。
自分でデザインすることも考えましたが、時間もなく、
印刷の手間なども含めて考えると頼んでしまった方が良いなと思い
以下のサイトで作成してもらいました。
www.designmeishi.net

仕上がりは満足しているのですが、校正がやりにくかったのと
良い紙にするとそれなりのお値段になってしまうことが分かったので
次回刷る時は自分でデザインしようと思っています。

フリーランス登録

本来は自分で営業をして案件を獲得するのが理想的ですが
営業のコストもかかりますし、自分のコネではリーチできないニーズもあります。
(そもそも今年は積極的に仕事を取りに行くつもりはない。)

そこで、フリーランスとして案件を紹介されるという受け身な働き方が
どの程度成り立ちそうなのか確認してみることにしました。

結論としては、100万円/人月以上の案件もそれなりにあり
中抜きのマージンを考えたとしても現状では悪くはないと考えています。
実際に、紹介してもらった案件に4月から週3で参画していますが
案件の難易度も高くなく、クライアント側は技術的に強い人も多く
それなりに楽しくやっています。
ただ、やはり週5労働だとスキル上げの時間の確保が難しいので
近いうちに週4以下に減らそうと思っています。

登録したのは以下のサイトです。
freelance.levtech.jp

bigdata-navi.com

freeconsultant.jp

www.high-performer.jp


各社で扱っている案件の内容も相場もだいぶ違う様でした。
また、ここではどこかは記載しませんが
中の担当者の質が低いものや
業務委託の契約書があまりに酷いものもありましたので
初めて利用される際は注意が必要だと思います。

加えて、SQLでデータ抽出+単純集計するだけ(で良さそう)、
DeepLearningのフレームワークを弄るだけ(で良さそう)みたいな案件だと
60万円/人月程度だったりするので
エントリーレベルで十分な案件の相場は既に崩れ始めているなあという印象です。

今のような相場が長く続くとは思っていませんが
スキルを持った人間がきちんと成果を出すことで
案件の相場が大きく崩れないようにはしたいです。

Rで音声データを扱う

音声データの扱いに関してTask View的なものがないか調べていたところ
以下の本のAppendixにまとめられていたので簡単にメモしておきます。

Sound Analysis and Synthesis with R
目次を見る限り、この本は音声データの扱いに関して
基本的なところから丁寧に説明してある雰囲気で良さげです。

Appendixで紹介されていたのは以下の9つのパッケージでした。
使用頻度が高そうな順に記載します。

tuneR

https://cran.r-project.org/web/packages/tuneR/tuneR.pdf
音の入出力周りが充実したパッケージ。
MIDIやMP3のファイルも読み込めるらしい。

seewave

https://cran.r-project.org/web/packages/seewave/seewave.pdf
http://rug.mnhn.fr/seewave/
音の振幅や周波数を扱う関数や各指標を算出できる
かなり汎用的なパッケージ。
vignetteも充実しているし
著者のページで様々な可視化の例も見られる。

signal

https://cran.r-project.org/web/packages/signal/signal.pdf
MatlabOctave)互換な関数が集められた信号処理パッケージ。
フィルタ系の関数が充実している印象。
2015年で開発が止まっている。

soundgen

https://cran.r-project.org/web/packages/soundgen/soundgen.pdf
http://cogsci.se/soundgen.html
音声生成周りが充実したパッケージ。
shinyでインタラクティブに音を生成できる。すごい。

warbleR

https://cran.r-project.org/web/packages/warbleR/warbleR.pdf
動物の音声の分析をスマートに行うためのパッケージ。
一部seewaveの関数をベースにしたものがあったりするが
使い勝手がどのくらい違うのかは不明。

phonTools

https://cran.r-project.org/web/packages/phonTools/phonTools.pdf
http://www.santiagobarreda.com/rscripts.html
フォルマントの抽出や、その遷移の可視化など
音声解析用の関数が充実したパッケージ。
2015年で開発が止まっている。

soundecology

https://cran.r-project.org/web/packages/soundecology/soundecology.pdf
音環境、サウンドスケープ研究のための様々な指標を計算するパッケージ。
ややマニアック。

monitoR

https://cran.r-project.org/web/packages/monitoR/monitoR.pdf
音声データ同士のテンプレートマッチングができるパッケージらしい。
(動作未確認)

audio

https://cran.r-project.org/web/packages/audio/audio.pdf
今のところ特化した関数があるわけでもなく、使いどころはなさそう。


おまけ。
”Sound Analysis and Synthesis with R”に
辿り着くまでに見つけたものもまとめておきます。

SoX

http://sox.sourceforge.net/
音声処理の界隈ではよく使われているらしいソフトウェア。
seewaveのsox関数から呼び出すことができる。

openSMILE

https://www.audeering.com/opensmile/
音声データから諸々の特徴量を作成するソフトウェア。
C++で書かれているので速い。
Rからは直接system関数で呼ぶしかなさそうで
作成されたarff形式のファイルを読み込む形で使う。
商業利用は要相談らしい。https://en.wikipedia.org/wiki/OpenSMILE

開業を届け出てきました

先日、開業届を出してきましたので、その辺りについてのメモを残しておきます。

提出物

開業届に関してググってみた結果、
以下の2つを提出する必要があることが分かりました。

・開業届
青色申告承認申請

提出時期

ブログによって書いてある時期が揺らいでいたりしたので
お役所の文書を読みました。やはり安心感がありますね。

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

開業届は1月以内、青色申告は2月以内が正解でした。

作成方法

紙のフォーマットは上のリンクから落とせて
記載する内容もそれほど多くはなく、悩むところもほとんどありません。
ただ、手書きが面倒だなーと思っていたら
freeeのサービスで簡単に作れるということに気付きました。
www.freee.co.jp

メールアドレスの登録が必要ですが無料で使えます。
因みにご利用特典というものがありますが
さらっと眺めた限り自分にとって魅力的なものはありませんでした。

作成にあたっての補足

開業届の方に「屋号」を記載する欄がありますが
この屋号はいつでも変更できるそうです。
変更があれば確定申告の際に
変更後の屋号を記載して提出すればOKというものらしいです。
従って、私は悩んだり1週間ぐらい寝かせたりしましたが
一旦ブランクで提出するというのもアリなのかもしれません。

青色申告の方に「備付帳簿名」を選択する欄があります。
上記の開業freeeで作成するとデフォルトで以下の項目にチェックが入っていました。
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・経費帳
・固定資産台帳
・預金出納帳
・総勘定元帳
・仕訳帳

本当に全部必要なのかな?と思いましたが
使用しなかったものはナシということでもOKなんじゃないかなーと思い、
そのまま提出することにしました。
また、逆にデフォルトでチェックが入っていなかったものを
求められるということはないだろうという判断もしました。

提出方法

郵送しても良いとのことですが
滅多にないことなので散歩がてら往復2時間歩いて税務署へ持参してきました。
受付は待ち時間も込みで3分ほどで終わりました。一瞬。


次は事業用の口座の開設と会計ソフトの準備ですかね。

これからの生き方

早いもので1月も中旬になってしまいましたが、
昨年末で約1年半勤めた会社を退職し、独立することにしました。

退職を考え始めたきっかけは
よくある「データサイエンティストが会社に居着かない理由」みたいなブログに
包含されていますので詳しくは書きません。
他の方のブログを読む限りでは
相対的に上司や同僚には恵まれていたのではないかなと思っています。
お陰様で短い在籍期間ながらも貴重な経験を積め、
自分としても満足できる結果を残せたと思っています。
ただ、今後のキャリアを考えるとここに居続けるのは良くないなと思い
出ていくことにしました。
前職のみなさま大変お世話になりました。

独立するという決断については
働き方に関するもっと根本的なところに違和感があったことが理由で、
こちらについて書いてみようと思います。

時間の割り当て方

大前提として、人生は自分の時間の割り当てを工夫することで
現時点から先の満足度の累積値を
いかに高めるかというゲーム(問題)だと私は捉えています。
現在の技術では満足度を測定することもできないし
全ての可能性を吟味することもできないので正しい意味での最適化はできませんが、
これを意識しながら意思決定していくことに人生の醍醐味があると考えています。

労働は私を含め多くの人にとって生計を立てるために必要なものであり
人生の中でそれなりに大きなパートを占めます。
大学を卒業してから健康に活動できる時間は
約30万時間(16時間/日 × 365日/年 × 50年)しかありません。
そのうち通勤や残業まで含めた労働時間は
約9万時間(10時間/日 × 220日/年 × 40年)となります。

今回の退職に際し、この9万時間について考えてみました。

労働によって得たいもの

労働とは自身の時間をなんらか価値のあるものに変換する営みです。
私がどのような価値を求めていたのか改めて考えてみると
以下の2つにまとめられました。

・生計を立てるための収入
・自己充実感

前者については上述の通り必要なものではありますが
過剰に求めるものでもありません(そりゃ多いに越したことはないですが)。
都内1人暮らしであれば年収500万円あればそれほど不自由せず、
結婚したとしても年収800万円程で私が望む生活が実現できると見積もっています。
つまり、がむしゃらに週5日以上働き続けていると年功序列で勝手にお給料が上がって
いつの間にか年収1000万円を超えるような労働は私には過多なわけです。
ここで年収が労働に割り当てる時間に比例するものだと仮定すれば
週5日の労働を週3日にしても
少なくとも独身の間は十分に生計を立てられるように思えます。
加えて、平均的に週3日の労働で良いのであれば週2日分のバッファが生まれるので
時期によってはプライベートの時間を優先して労働を週1日にして
別の時期に週5日の労働によって帳尻合わせをするということも可能になります。
(そんなに都合よく仕事が見つかるかは別の話ですが、、)

一方で、後者については高まれば高まるほど望ましいものだと考えています。
これを高めるための要因は絡み合っていますが
大きく3つの観点が必要なのではないかと考えています。
・高度なスキルに基づいた仕事をすること
・ワクワクする仕事をすること
・キャリアの持続可能性の高まる仕事をすること
 
言うは易しでなかなか実現は難しいだろうなと感じていますが
これが実現すれば本当に素晴らしいと思います。

自己充実感の実現に向けて

「高度なスキルに基づいた仕事」をするためには当然ですが
自分自身が高度なスキルを持ち合わせていなければなりません。
スキルの向上は労働によってもなされますが
それは本来的には副次的なものであるはずなので
労働とは別にスキルの向上を図るための時間を割り当てることが必要となります。
今後も私のスキルの1つとしたいデータサイエンスは
AIブームと相俟って技術革新のスピードが速くなっていることに加え
ビジネスへの応用も益々広がっています。
正直なところ週5日の労働を続けながら
このトレンドを追い続けるのは厳しいと感じています。

加えて、高度なスキルが求められる仕事に出会い続けなければなりません。
私のこれまでの経験上、どんなプロジェクトでも
高度なスキルに基づいた意思決定が求められるシーンというのは極一部で、
ほとんどは高度なスキルがなくとも選択できるオーソドクスな方法で
ビジネス的に筋の良いアウトプットをスピード感を持って出すことが求められます。
実際に、このようなアプローチがビジネス的な価値に直結することも多く、
正しい仕事のやり方だと心から思います。
ただ、こればかりだと技術力を売りにする者としては張り合いがありません。
従って、特定のプロジェクトにコアメンバーとしてどっぷり浸かり続けるよりも
複数のプロジェクトに参画してコアメンバーの支援や育成を行う立場の方が
向いているのではと考えるようになりました。

「ワクワクする仕事」をするためには仕事の内容だけでなく
組織的・環境的な要因も必要です。
具体的には、モチベーションを高く保てるミッションや
尊敬できる上司や切磋琢磨できる同僚、ストレスの少ない社内規定や設備などです。
これらはある時点で最高な状況でも、容易に変化しうるものなので
一所に留まり続けてワクワクし続けられる可能性は高くないのではないかと考えます。

「キャリアの持続可能性の高まる仕事」とは
副次的にスキルやブランド力の向上が見込め、
次の仕事がやりやすくなる仕事のことをここでは指しています。
このような仕事をするためには、目先の報酬に捉われず
仕事の内容を見極めた上で請けるかどうかを判断できる自由と余裕が必要です。

これから

長くなりましたが、以上のようなことを考えた結果として
特定の企業に所属する生き方ではこれらを綺麗に解消させることは難しいなと思い
独立するという決断に至りました。

幸い、上記のような考えを理解してくださる方々に出会うことができましたので
当面は以下のように時間を割り当てて生きていくつもりです。
・週2日を労働
・週5日をスキルの向上(当然息抜きも必要)

新しい試みなので上手くいくかどうか不安もありますが
じっくり焦らず生き方を確立していければなと思います。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

振り返り

今年、人生初の転職をしました。
良い機会だと思うので
これまでの仕事観、キャリアなどについて振り返ってみます。
無駄に長くなってしまいました。

高校時代

将来の夢などありませんでしたが
進学校の雰囲気に飲まれて3年間それなりに勉強をしました。

進学先の決定にあたっては、諸々の制約から大学はすぐに決まりましたが
学部・学科については社会を知らない十代なりに悩みました。
将来のイメージがないまま安易に進学先を選ぶのは良くないのではと考えて
一時は浪人することも考えたほどです。

でも結局は、浪人中も勉強を続けられる自信が持てなかったため
進学することに決めました。
私は理系のコースでしたが化学も物理も興味が持てませんでした。
それらの勉強が避けられない学部・学科を外していった結果、
いくつかの候補が残りました。
残った候補のうち、情報系は将来食いっぱぐれなさそうだなと思い、
工学部の情報系の専攻がある学科を選択し、入学しました。

余談ですが、入試の点数を開示したところ、
数学の点数が同じ学科の友人達の半分くらいしか取れておらず
やっぱり自分は理系に向いていないのだろうなと思いました。

大学&大学院時代

上記のような消去法の連続で進学したこともあり、
1年次必修の基礎科目はほとんど興味を持てませんでした。
出席カードだけ記入して退室、居眠りなどをよくしていました。
今となっては非常にもったいないことをしていたなと思います。

そんな不真面目な学生でしたが、
週に1度だけある専攻の基礎科目日は少し楽しみでした。
その日はプログラミングの実習や
論理学、アルゴリズム、コンピュータアーキテクチャなどがあり、
これらについては純粋に面白いと思えるものが多かったです。
2年次以降も専攻の科目は興味をそそるものが多く、
学校に行くのが億劫でない日はそれなりに講義に出席しました。

それなりの興味と出席でほとんど単位を落とすこともなく
順調に3年次の単位まで取得し、研究室選びのタイミングが訪れます。

当初私はロボティクス系の研究室を志望しようとしていました。
深い理由はなく、動作から知的さを感じるロボットを見て単純に面白いと感じた、
卒業後の産業分野での活用イメージが分かりやすかったぐらいの理由でした。

しかし、例年その研究室は成績上位者で枠が埋まり、
私の年も上位の何名かの同級生が志望しているという情報が入っていました。
そこで、リスクを取ってまでして本当に行きたい研究室なのか考え直しました。

その結果、私は知能や情報処理の仕組みには興味があるが、
機械を動かすことには興味がないということに気付きました。
また、基礎的な数学力の低さから
アルゴリズムなどの理論研究も向いていないだろうと認識しました。

ここも消去法で絞り込んでいった結果、
実験心理学のアプローチで人間の認知について研究している研究室に辿り着きました。
研究内容がやや基礎研究寄りであることなどから
就職面で不利になるかもしれないことを覚悟して志望し、
無事に研究室生活をスタートすることができました。

大学院進学に際しては近い分野の研究者が多く在籍し
実験設備の面でも充実していた同大学の別の大学院に進学しました。

大学院で所属した研究室は他大学から進学してくる方も多く、
理系文系問わず様々なバックグラウンドの方々と互いに
知識や考え方を共有したり議論したりと、とても面白かったです。

就職活動

大学院進学を決めたのはモラトリアムを得たいという不純な動機が大きく、
博士課程まで進む気はありませんでした。
また、研究内容を生かして就職先を見つけるのが難しいことも早々に分かったため、
これまでの研究は趣味だったと割り切って就職活動を進めました。

この時点でも相も変わらずやりたいことはなく、
楽に働けてほどほどお給料が貰える企業に入って
プライベートを充実させたいなーなんて考えていました。

そんな企業を探し当てるために就職四季報を全ページめくりました。
年収や退職率、業績の変化などを確認してめぼしい企業を書き出し
そこから自身の適正や競争倍率などを予想しながらフィルタをかけていきました。
データに基づいて判断するという習性は当時からあったのだと思います。

消去法で残ったものは大きく括るとメーカーとSIerでした。
就職活動期間中に起こった3.11の震災に影響を受けた私は
工場や設備などの固定資産から利益を生み出すメーカーに脆さを感じ、
人間の能力で利益を生み出すSIerの方が良いなと、SIerを中心に選考を進めました。

面接を受ける中でもっとも雰囲気がゆるく、
業績も好調でお給料も悪くないなーと思っていた企業から
最初に内定をいただき、それで就職活動を終えました。

因みに、当時からデータ分析専業の某B社の業務内容は
非常に面白そうだなあと感じていました。
しかし、ユーザーとして古典的な統計学や多変量解析を使っていたに過ぎない自分には
もし入社できたとしても入ってから大変だろうなあと思って見送りました。

1社目(SIer

入社してみて、ゆるくて風通しも良くてかつ20代のうちはお給料も高く、
予想通り働きやすい会社だったと思いました。

ただ、配属後の数か月はSEとしてシステムの改修やテストを担当していましたが、
私は業務内容に全く興味が持てず、この仕事は向いてないなーと感じていました。
そう悶々としていた頃に、先輩がレセプトデータの集計分析を行っていることを知り、
少しずつ仕事を振ってもらう様にお願いしました。
Accessでクエリを書いて集計してレポートにまとめるだけの仕事だったのですが、
この経験が繋がって、新規で発足したデータサイエンス領域でのビジネス探索チームに
異動することができました。
チームのリーダーと、私と同時期に中途採用で加わった先輩の2人は
データサイエンティストとしてもビジネスマンとしても非常に優秀で
刺激的な日々を過ごすことができました。
彼らと一緒に働く中で仕事に対する捉え方が
「お給料をもらうために仕方なく取り組まなければならないもの」から
「本気で取り組めば面白いもの」に変わりました。
勉強会に参加したり、自分で書籍を買って学習するようになったのも
これがきっかけです。

その後、先輩方が会社を去り、出資先にマネージャーが出向したりと、
もはやチームとしての体を成していませんでしたが
私がリーダー的なポジションになりました。

ビジネス上は出口が見えず詰みに近い形でしたが、
結果として約2年間に渡って探索を継続させてもらえました。
自身のデータサイエンティストとして歩み始めたキャリアを途絶えさせないためにも、
データ分析案件の掘起こしから中途採用による人員補充、新人のOJT指導など
できることは色々と実施しました。

昨年の4月に組織の再編があり、
メインのミッションがデータ活用周りのビジネス化ではなく
IoTやAIに関する調査やビジネス検討になりました。
それからの1年と数か月間は、グループ会社の技術交流会で発表したり
他部署の研究開発の支援をしたりと
以前に比べればだいぶ技術者寄りのポジションで働きました。

転職活動

あまり大きな不満はなかったのですが、
将来のことを考えると、居心地の良い環境で
のらりくらり生きてる場合じゃないなと漠然と感じていました。

そんな中、年度が変わってOJTで見ていた後輩が異動になり、
研究開発として携わっていたものがある程度形になったり、
社内外でお世話になった方々が退職されたりと
色々タイミングとしてキリが良いなと感じ、出ていくことにしました。

これまで他社のデータ分析のお手伝いしている中で感じていた色々を
転職によって解消したいと考えていました。
具体的には以下です。
 ・データサイエンスの力で直接的に自社ビジネスを拡大したい。
 ・ビジネス拡大に貢献できるという前提で、お給料も上げたい。
 ・施策側まで意識したプロジェクト運営をしたい。
 ・大企業の中の仕組みを体験して理解したい。

履歴書もまだ書き上がっていないうちに見事に合致する求人を見つけ、
一番最初に応募したその企業から内定をいただき、決めました。

2社目(金融系)

現在です。転職して良かったことはいくつかあります。
 ・自身の工夫によって売上に貢献できるポジションになった。
 ・年収が4割ぐらい上がった。
 ・データ分析以降の施策部分の難しさを感じられるようになった。
 ・大企業の価値観、働き方を知ることができた。
 ・朝が早くなった分、家に帰る時間が早くなって夜の時間が生まれた。
 ・SQLの読み書きに慣れた。

悪かったことは書いていると新年を迎えそうなので、また今度。

今後

今の仕事の仕方(スピード感、技術への触れなさなど)をずっと続けていると
市場価値は下がっていくだろうなあという危機感があります。
採用された責任は果たそうと考えていますが
その後のことについては色んな可能性を考えたいと思っています。

可能性を考えるにあたっては
以下の2つを大事にしたいなと考えています。
 ・自分の知見や技術を十分に活用する。
 ・コスト削減などの効率化だけでなく、新しい価値を生み出す。

これらを本業として実現するために転職するのか、
本業とは別に実施できる副業しやすい企業に転職するのか、
はたまたフリーランスになるのかとか
色々ありますがこれらはじっくり考えていこうと思います。

この年末年始は上記検討の材料とするため、
ボランティアとして某プロジェクトに参加しています。

総括

これまで成りたい自分を設定しないまま
その時々の消極的な理由に基づいて人生の選択を行ってきました。
しかし、その割には人に恵まれたりタイミングに恵まれたりと
色々な偶然が重なったお陰で
良い生き方ができているのではないのかなと思いました。

これからも助け助けられながら生きていきたいと思いますので
皆さま来年もどうぞ宜しくお願い致します。